いいだです。
毎年1月になると、会社から年末調整の結果としての『源泉徴収票』が渡されます。
毎年渡されている割には、何が書かれているのかよくわからずに毎回スルーしていました。
そんな中、白血病で入院してはじめて迎えた1月に、ぶっちゃけヒマだったので源泉徴収票について調べました。
会社に復帰したあとに、会社で周りの人に聞いてみたのですが、多くの人が源泉徴収票の読み方を知りませんでした。
自分もそうでしたが、源泉徴収票に何が書いてあるのか知らない人も多いと思いますので、源泉徴収票の読み方について説明していきたいと思います。
この記事を読んでくれているあなたも、自分の源泉徴収票を用意して、見比べながら読んでみてくださいね。
年末調整と源泉徴収票
ぼくたちは収入に応じて所得税を納めています。
会社員の場合は、特に意識をしなくても毎月のお給料やボーナスの支給時に、支給額に応じた所得税が勝手に天引きされています。
この毎月のお給料やボーナス支給時に天引きされた所得税の金額は、その都度の支給額から「とりあえず」で計算された金額です。
しかし、一年間を通してのいわゆる年収が決まらないと、実際にその年の収入に応じて支払うべき最終的な所得税の金額が決まりません。
つまり、『一年間の収入に応じて支払うべき所得税額』と『その都度天引きされた暫定の所得税額の合計』には差額があります。
そのため、最終的にはこの差額について調整する必要があります。
これが年末調整です。
年末調整をするために必要な情報、および、年末調整の結果が書かれたものを源泉徴収票といいます。
そして、年末調整で決定した『一年間の収入に応じて支払うべき所得税額』のことを源泉徴収税額といいます。
年末調整の結果、12月のお給料の支給時に以下のことが起こります。
- 『一年間の収入に応じて支払うべき所得税額』が『その都度天引きされた暫定の所得税額の合計』より少なかった場合、所得税を払いすぎているので、その差額が戻ってきます。
- 『一年間の収入に応じて支払うべき所得税額』が『その都度天引きされた暫定の所得税額の合計』より多かった場合、所得税の支払いが足りないので、その差額を追納します。(お給料から天引きされます。)
ぼくの会社の場合は上記の通りですが、会社によっては調整のタイミングが異なるかもしれませんので、その場合は読み替えてください。
源泉徴収票の読み方
それでは本題である源泉徴収票の読み方について、以下のAさんの源泉徴収票をもとに説明していきます。
源泉徴収票の下半分くらいはここでの説明では使わないので省略しています。
また、Aさんの源泉徴収票に書かれている金額は、説明のためにキリをよくした仮のものです。
この源泉徴収票の①~⑨について順番に説明してきます。
①源泉徴収票の「支払金額」
会社から一年間に支給されたお給料12ヶ月分やボーナスなどの合計金額です。
つまり、Aさんの年収です。
手取りではなく、いろいろ天引きされる前の額面の金額です。
住宅手当や扶養手当などが支給されている場合はそれらも年収に含まれます。
通勤費は一般的には年収には含まれません。
Aさんの年収は、①「支払金額」より600万円です。
②源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」
①の年収がそのまま所得税の対象になるわけではありません。
考え方としては、会社員にも自営業・フリーランスの人と同様に経費のようなものが認められていて、その分は税金がかかりません。
この経費のようなもののことを「給与所得控除」といいます。
①の年収から「給与所得控除」の金額を引いたものが、②「給与所得控除後の金額」です。
「給与所得控除」は以下の表の計算で求められます。
ただし、国税庁のサイトによると、年収が660万円未満の場合はこの表ではなく、こちらの表(国税庁のサイトのPDFファイル)から②「給与所得控除後の金額」を確認する必要があるようです。
Aさんの場合は、このリンク先の表で年収600万円のところを見つけて、②「給与所得控除後の金額」は426万円となります。
つまり、年収が600万円のAさんの「給与所得控除」の金額は、600万円-426万円=174万円であり、これだけ経費として認められているということですね。
なお、Aさんの「給与所得控除」の金額は、上記の計算式の方で求めても、
なので、国税庁によると660万円未満の人はリンク先の表を確認するとのことですが、計算式の方でも求められる場合があるようです。
③源泉徴収票の「所得控除の額の合計額」
②で年収のうち、経費分については税金の対象外となりました。
さらに、扶養家族がいる場合や生命保険に入っている場合など、税金の対象となる金額がさらに安くなります。
ここでの控除はいろんな種類がありますので、代表的なものについて説明していきます。
- 基礎控除・・・自分一人が存在するだけで、38万円が控除されます。源泉徴収票には書かれていません。
- 源泉徴収票の⑤・・・配偶者の年収に応じて、配偶者控除または配偶者特別控除として最大38万円が控除されます。
- 源泉徴収票の⑥・・・親や子を扶養している場合、1人あたり、38万円が控除されます。
- 源泉徴収票の⑦・・・毎月のお給料から天引きで支払っている厚生年金・健康保険・雇用保険などについて、一年間で支払った金額の合計分だけ控除されます。
- 源泉徴収票の⑧・・・生命保険や地震保険などに加入している場合、上限がありますが、計算式によりいくらか控除されます。
- 源泉徴収票の⑨・・・住宅ローンを組んでいる場合にいくらか控除されます。
Aさんの控除額は以下となります。
- 基礎控除で38万円
- ⑤より配偶者控除が38万円
- ⑥より親や子の扶養による控除なし
- ⑦より84万円
- ⑧より4万円
- ⑨より住宅ローン控除はなし
で合計164万円が③「所得控除の額の合計額」となります。
④源泉徴収票の「源泉徴収税額」
はじめに説明した『一年間の収入に応じて支払うべき所得税額』のことです。
つまり、Aさんのが支払うべき所得税額は④「源泉徴収税額」より167,900円です。
それでは、この167,900円がどのように計算されたのかというと、この表の計算式を使います。
まず、表の「課税給与所得金額 (A)」を求めますが、これはこれまで説明してきた「所得税の対象となる金額」のこと、つまり、
のことです。
ここで、1,000円未満は切り捨てます。
Aさんの場合は、
が「課税給与所得金額 (A)」となります。
ここで、Aさんは「課税給与所得金額 (A)」が262万円なので、表の「195万円超、330万円以下の場合」が該当します。
この表の式に当てはめて計算すると、
となります。
あれ、④「源泉徴収額」である167,900円と一致しません。
ということで、最後の説明です。
復興特別所得税
実は『復興特別所得税』というものがあります。
東日本大震災からの復興のための財源とするために制定されました。
具体的には、
というものです。
復興特別所得税の金額は、先ほどの表で計算した算出所得税額の2.1%です。
100円未満は切り捨てます。
Aさんの場合は、
なので、100円未満を切り捨てた3,400円が復興特別所得税になります。
この復興所得税額と表から計算した算出所得税額とを合計したものが④「源泉徴収額」です。
Aさんの場合は④「源泉徴収額」は、
となり、これがAさんが納める所得税の金額です。
おわりに
源泉徴収票の読み方については以上でおしまいです。
ぼくもそうでしたが、会社員だと『確定申告』というものを意識しないことが多いと思います。
もちろん、会社がやってくれた年末調整以外に何も申告するものがなければ、会社員は確定申告をする必要はありません。
ただし、会社以外に副業での収入がある人は稼いだ金額によっては確定申告をする必要があります。
また、医療費が多くかかった場合やふるさと納税をした場合などは、確定申告をすると、年末調整でおさめた所得税がいくらか戻ってきます。
医療費控除については別の記事で詳しく説明しています。
それでは。